さよなら、もう一人のわたし (修正前)

 あたしは母親の部屋の襖を開ける。

 母親の部屋には布団が敷かれていて、寝息が聞こえてきた。

 あたしは彼女の傍らに座ると、彼女の額に手を伸ばした。

 触れただけで熱があるとすぐに分かった。

「京香?」

 くぐもったような声が聞こえてきた。

 閉じられていた彼女の瞳がゆっくりと開く。

「ごめん、起こした?」

「大丈夫よ。もうすっかりね」

「そうだね」

 彼女はいつもそうやって嘘ばかりついていた。

 あたしがいなければ、もっと楽な人生を送れたかもしれない。

 あたしは思わず泣きそうになるのを堪えた。

 今、この部屋に電気がついていなくてよかった。

 そう思っていたのだ。