さよなら、もう一人のわたし (修正前)

 監督は一人でいたら通報されるんじゃないかと思うほど挙動不審な行動をしていた。

「いや、追い出されたりするんじゃないかって思ってさ」

「大丈夫ですよ。多分」

 あたしははっきり否定はできなかった。

 でも、心から彼を拒否することだけはないと思っていたのだ。

 彼に迷惑をかけたくないから一人で育てた。

 そう彼女は言っていたのだ。

 嫌いだったらそんなことを思わないし、あたしはここにはいなかったかもしれない。

 実家が金持ちの彼からお金をもらうこともできたかもしれない。

 それをしなかったことが、彼女の本心だったのだと分かっていたからだ。

 あたしたちは物音を立てないように家の中に入る。

 あたしは彼に玄関先で待ってもらうように頼んだ。