さよなら、もう一人のわたし (修正前)

 母親が倒れたこと、そして成宮監督に送ってもらうということを彼女に告げたのだ。

「そうね。送ってもらうだけならかまわないとは思うわ」

 彼女はため息を吐くと、腕を組んだ。

 彼女はその意図を理解しているみたいだった。

 でもしばらく考え込んでいるのか、顎に手を当て、眉間にしわを寄せていた。

 彼女は誰かに見られたときのことを恐れているのだろう。

「私も行くわ。誰か彼女についていないといけないでしょう? あなたたち二人がいないと困るけど、私がいなくても撮影が差し支えることはないから」

「でも」

「仕方ないわ。細かいことには目を瞑りましょう。それともあなたの祖父母に来てもらう?」

「ちょっと移動するのは大変かなって思います」

 年齢も年齢だから母親の看病なんてできるのかわからなかった。

「それなら行くわ。あなたとか、もう一人の人が心配だから帰らないとか言い出したら困るもの」

「あたしはともかく、もう一人の人は言わないと思いますよ」

「そう思っているなら甘いと思うわ」

 彼女はそれだけを言うと、あたしに早く準備をするように促した。