さよなら、もう一人のわたし (修正前)

 彼女はゆっくりと、まるで言い聞かせるかのようにゆっくりと語りだす。

 彼女の瞳の中にあたしが映る。

 そんなたいしたことでもないのに、ドキッとしてしまっていた。

「でも出てみたくない? あの映画に出られるなら」

 あたしはその映画の内容を思い出していた。

 それは少女の淡い恋物語だった。

 水絵が演じる果歩という少女が微笑み、笑うだけで彼女に目が惹かれてしまう。

 大地を照らす太陽も、辺りに漂う森林も、聞こえてくる鳥の鳴き声も彼女を引き立たせるために存在しているような印象さえ受ける。

 もしかすると千春が母親に似ているというのは容姿だけではなく、そのような人を引き付ける力を持っているからかもしれない。

 あたしの中の果歩という女性が千春に替わっても難なく受け入れることができるだろう。

 彼女は果歩になれると思った。