さよなら、もう一人のわたし (修正前)

 彼女は明るい笑顔を浮かべている。

「水族館はどうだった?」

「綺麗だったよ。悲しいくらいにね」

 あたしの脳裏に蘇るのは、きらきらと輝く水でもない。

 泳いでいた魚でもない。

 行き交う人々でもない。

 ただ、尚志さんの悲しみに満ちた瞳だった。

「お兄ちゃんと話をしていたんでしょう? 何ならあたしはまたでかけるよ?」

「いいよ。そんなに気を使わなくて」

 雨の中外に出たら千春も風邪をひいてしまう。

「あたしの部屋に行く? お兄ちゃんはしばらく下にいると思うから」

 あたしは千春の言葉に頷いた。