さよなら、もう一人のわたし (修正前)

「あなたが好きなお母さんの映画をリメイクしないかっていう話があるの」

 千春は肩をすくめる。

「それにあたしが出ないかって。彼女の娘ってことで話題性があるかもしれないってね」

 あたしは突然聞かされた言葉に彼女を見た。

「すごいじゃない。出るの? この前オーディションに出たってことはそういう気があるってことだよね?」

「出ないよ」

 彼女は肩をすくめる。

「どうして?」

「嫌だから」

 彼女はあたしの言葉をばさっと切り捨てた。

「あたしは素人だし、そんなものに出られるわけないでしょう?」