さよなら、もう一人のわたし (修正前)

「これは?」

「お母さんの赤ちゃんの頃の写真。でもこの辺りはいまいちかな」

 千春はアルバムを捲る。そこに写っていたのは二十歳くらいの女性の姿だった。

 彼女はまっすぐな瞳で前方を見据えている。

 それはあたしの知っている「彼女」の姿でもあった。

「すごい。何か不思議な気分。めちゃくちゃ綺麗な人だよね」

「そうかな」

 千春は複雑そうな顔でその写真を見ていた。

 この頃の彼女は二十歳くらいの頃だ。千春とはそこまで変わらない。

 確かにこうやってプライベートな写真と千春を見比べていると似ているかもしれない。

「あたしがあなたに声をかけたのはあたしのためなのよ」

「どういうこと?」

 あたしは首をかしげて千春を見た。