「この映画、妹さんも楽しみにしているの?」

 彼は頷く。

「そっか」

 あたしは杉田さんがどうしてそこまで一生懸命なのか分かった気がした。

 多分、子供のときのように、妹を喜ばせたかったのだろう。

「でも、それだけじゃないよ。君と一緒にやりたかったのも本当だから」

 あたしの心を読んだかのように彼は付け加えた。

 あたしは頷く。

「ありがとう」

 この映画を見て、何かを感じ取ってくれる人もいるのだろうか。

 あたしが、この映画を見て感動したように。

「妹さんの体調は?」

「最近は昔に比べて体調もいいみたい。君のことも気に入っているみたいだよ」

「どうしてあたしのこと知っているの?」

「しつこく聞かれて。言ったらまずかった?」