さよなら、もう一人のわたし (修正前)

 彼らの父親が帰ってきてくれたこと、それが嬉しかった。

 そのとき、再びチャイムが鳴った。

 あたしは再び玄関に行く。

 でも、二人はあたしが玄関に行く前にもう家の中に入っていた。

「お父さんは?」

「中にいるよ」

 あたしはリビングを指差す。

 彼女は荷物を抱えたまま、リビングの中に入っていく。

 あたしと杉田さんは顔を見合わせると、彼女の後を追うことにした。

 千春は玄関に立ち尽くし、唇を噛み締めている。

 彼女の鋭い瞳は自分の父親に向けられていた。

 彼女の目には薄っすらと涙が浮かんでいた。

 彼らはよく似ていると思った。

 一見気が強くて、何でも言っていそうに感じるけれど、実際はとても不器用で自分の気持ちを表現するのが苦手なのだ、と。