さよなら、もう一人のわたし (修正前)

「尚志、大きくなったな。お母さんに似てきて」

 そう言ったのは彼らの父親だった。

 穏やかでな口調だった。

 そんな彼の言葉を打ち消すかのような強い言葉が聞こえてきた。

「どれだけ心配したか、迷惑かけたかわかってるのかよ。千春だって、毎日泣いて。あいつは」

 尚志さんが唇を噛み締める。

 彼は言葉を続ける。

「あなたはいつもそうやって気まぐれで」

 尚志さんの目に涙がたまるのが分かった。

 でも、彼の目からその涙が零れ落ちることはなかった。

 強く何かを決意したような瞳。

 あたしが彼に心惹かれた一因となったもの。

 彼はどれほど彼女を慈しみ、守ろうとしたのだろう。