さよなら、もう一人のわたし (修正前)

「それでも君でよかったと思うよ」

 あの話を書いた人にそんなことを言ってもらえるとは思えなかった。

 それも水絵さんを一番よく知っている彼に、だ。

「ありがとうございます」

 あたしにはそれしか言えなかった。

 他に何を言っても蛇足になるとしか思えなかったのだ。

「まあ、彼女の言うとおりだ。娘たちに顔を見せてやれよ」

「その前に撮った分の確認をさせてほしいのだけど」

 その言葉に監督は肩をすくめた。

「全くお前は久しぶりに会ったと思えば仕事の話か」

 あたしは明日、彼女がこちらに来る予定になっていたことを思い出す。

「でも千春は明日、こちらに来るからそれでいいのかもしれませんよ。今からだと入れ違いになってしまいますし」