さよなら、もう一人のわたし (修正前)

「見に覚えがないなら黙っていたらいいじゃない。まあ、この映画の完成を楽しみにしているわよ。あたしも自分の役だけはしっかりとやり遂げるから」


 彼女はにやついた笑みを浮かべて、去っていこうとしたときだった。

 あなたがやり遂げる? 笑わせないで。

 そう言いたかった。

 でも、あたしの目が熱くなってきて、何かを言うと涙が同時にこぼれてきそうだった。 

 あたしは唇を噛み締める。

 そのとき、あたしたちの間を這うように通る声が辺りに響き渡る。

「あなたってあの沢井ひろみさんだよね?」

 自信に満ちた笑みを隠せないような声。