その次の日曜日、彼と一緒に練習をしていたときだった。

 彼の顔がいつもより赤いことに気づく。

 あたしはとっさに彼の腕をつかんだ。

 彼の腕はすでに熱を持っていた。

「杉田さん?」

「ごめん」

 彼の体がふらつくのが分かった。

 あたしは思わず彼の体を支えた。

「体調悪いんですか?」

「少しだけ」

 こんなに熱があって少しなわけがない。

 どうして体調悪いのに無理に来るのだろう。

 彼が役をつかめていないことがあるわけがない。

 あるとしたらあたしのためだった。

 彼の演技はもう非の打ち所のないレベルに達していた。

 それは監督も認めていたのだ。

 一方、あたしは何度も注意をされていた。

 あたしは彼の体調を気づけなかったことに罪悪感を覚えていた。