彼はあたしを家の前まで送ってくれた。

「送ってくれてありがとう」

「どういたしまして」

 彼は何かを思い出したように言葉を続ける。

「もし、オムライスを食べたかったらいつでもつきあうよ」

「どうして分かったんですか」

「メニューを見たときに目が輝いていたから」

 あたしは分かりやすいのだろうな、と思う。

 でも、嫌な気はしなかった。

 彼は微笑むとあたしに背を向けて帰っていく。