さよなら、もう一人のわたし (修正前)

 外に出ると千春が待っていてくれた。

 彼女はあたしと目が合うと、手を振る。

 彼女は頬を赤くし、何かに興奮しているようだった。

「待っていてくれてありがとう」

「本当はお兄ちゃんに待っていてもらおうと思ったのに、先に帰っちゃったのよ」

 千春は肩をすくめる。

「千春」

 あたしは千春をたしなめた。

「そんなに怒らないでよ。本当のことだし」

「尚志さんがあたしのことを好きなわけないでしょう?」

「えー、好きだと思うよ」

 彼女は何も考えずにそんなことを言っているのだろう。

 彼女は肩をすくめると微笑んだ。

「頑張ってね」

「ありがとう」

 千春は目を細める。彼女は視線を足元に向けると、首を横に振った。

「京香は自分のお父さんのこと知らない?」