さよなら、もう一人のわたし (修正前)

「京香のお母さん綺麗だよね。日本美人って感じ」

 千春はうっとりとした表情を浮かべ、そんなことを言っていた。

 しかし、尚志さんは無言で、成宮秀樹は何かを考え込んでいて無反応だった。
「そんなことないよ」

「あるって。ね、伯父さん?」

 成宮秀樹は相変わらず黙っていた。

「俺たちは外にいるよ」

 尚志さんはそう言うと、千春の手をつかむ。

「何でお兄ちゃんが怒っているのよ」

 千春は不満そうに言った。

「怒ってないよ」

「もしかして京香にすてきな人が現れるかもしれないのが嫌なの? 新しい出会いとかありそうだもんね」

 彼女はからかうように言った。

 あたしは自分の顔が熱くなるのが分かった。