さよなら、もう一人のわたし (修正前)

 数日後、あたしは事務所に呼ばれた。

 母親も一緒だった。

 千春や尚志さんも既に到着していた。

 この前事務所に来たときよりも物がすっきりしていて、エレベーターもきちんと使えるようになっていた。

 千春はあたしの母親を見て、なぜかはしゃいでいるように見えた。

 尚志さんは神妙な顔を浮かべていた。

 成宮秀樹はなんともいえない顔を浮かべていた。淡々としているようにも見えるし、困惑しているようにも見える。

 あたしたちは契約をすませると、母親は「話すことがない」とさっさと帰っていってしまった。

 あたしと千春、尚志さん、そして成宮秀樹が残された。