さよなら、もう一人のわたし (修正前)

 恋人同士みたいなことがしたいなと思っていた。

 あたしの目に手をつないでいるカップルの姿が映る。

 とても楽しそうに見える。

 あんな風に過ごせたらどんなにいいだろう。

 それを彼に言ったら嫌がられるかもしれない。

 そう思ってもタメ元で言ってみることにしたのだ。

 嫌がられたら冗談だと言ってしまえばいい。

「手、つないでいいですか?」

 彼はそんなことをあたしが言い出すとは思わなかったのだろう。目を見開いた。

 数秒後、優しく微笑んだ。

「いいよ」

 彼はあたしの手をつかんでくれた。

 温かい手に胸が高鳴る。

 ちょっと卑怯な気はするけど、今だけはこのぬくもりを感じていたかった。