お互い受験勉強で忙しいものの、それなりに恋人同士として過ごしていた。



夢も決まって、あとは大学に合格して、早く2人で一緒にいる時間を増やしたいと願うのみだ。



「カズの夢は教師だよね…今更だけど、なんで?」



「…憧れだよ。」



葉月の質問に、俺は正直に教師を夢見る理由を話した。






その当時、俺がお世話になっていたバスケ部の顧問。



教育熱心で、生徒を見下したりは絶対しない。



俺たち生徒の気持ちになって、親身に相談に応じてくれたりする優しさ。



俺はそこに憧れた。



自分もこんな生徒の気持ちのわかる、いい先生になりたいな…なんて思った。






「確かに…黒木【クロキ】先生って、いい人だよね。」



「うん…尊敬する。で、葉月の将来の夢は?」



自分だけ話すなんて、なんだか恥ずかしい…



そう思った俺は、葉月に問い返してみた。



「私?私は…音大入って、音楽に関わる仕事したいな♪あっ!カズが学校の先生なら、私も音楽の先生になろっかな??」