「じゃあ…帰る、ね。」



冬だから外が暗くなるのも早いし、そろそろ家に帰らないと…



「……うん。」



先生は窓の方に視線を向けたまま、返事をした。



心なしか寂しそうに見える…



「また明日も来るから。」



「……うん。」



先生の近くにいるようになって、今まで見ることのなかったいろんな表情の先生を見てきたけど…



こんなの初めて─



「あと…先生、明日は宿題持ってくるから、それ込みで勉強教えて下さい。」



あ、つい癖が…!
最後に丁寧語になっちゃった。



「…時間外労働だし。てか、病人に働かせる気?」



え…



「冗談。いいから、宿題持って明日来い。………待ってる─」



こうやって冗談を言えるぐらいだから、先生はきっとすぐに良くなる。



大丈夫…



私はそう思って、帰ろうとして途中で振り返った。



「……?」



不思議そうに私を見る先生の元にもう一度戻り、顔を近付ける。



「希……っ」



自分がこんなに積極的だったかなんてわからないけど、気付いたら私から先生の唇にキスをしていた。