でも、俺がこんなに笑えるのは、お前のおかげだ。



ありがとう─



そう思っていても、面と向かっては言えなくて…



俺は無言で、篠原の頭の上にそっと手を乗せた。



「………」



篠原は何も言わないし、抵抗もしなかった。



ただ俯いたまま…
少し、震えていた。









「本当は…っ、一言も喋って欲しくない。」



あのまま突っ立ってるのも何だし、俺たちはまた社会科準備室に来た。



来た途端に、篠原は子供のように泣きじゃくり…



やっと落ち着いて、発した言葉がそれだった。



「篠原…」



葉月のことは、いずれどうにかする気でいた。



でも、あれから1ヶ月くらい放ったままの状態─



俺が1人なら、まだ放っていたかもしれないが…



今は変わった。



目の前にいる人を、俺は守らなければならない。



だったら…
早く決着をつけよう。



そう思ったんだ。