あいつ…
何を気にしてんだ?



俺は、幼なじみの篠原 希の様子がいつもと少し違うと感じた。



部活の練習試合の時にチラッと見た希は、部活顧問の杉田 一真って奴と話をしてた。



帰り道、冗談で杉田が女遊びしてるとか言ったら、鋭い視線で俺を見てきた。



なんだよ…



挙げ句の果てに、希は杉田を信じたいと言った。



杉田はたかが教師だぞ?
信じたいって…



まぁそれが希らしいんだけど、そんなことを言ってる希を見ると、何とも言えない気持ちになった。



俺は小さい頃から希と一緒にいたし、希のことをただの幼なじみと思っている訳ではない。



特別な存在。
だけど…本人には言えない。



この『幼なじみ』という関係を壊す勇気が、今の俺にはないんだ…



希に嫌われたくない。
だから…言わない。



俺の気持ちは…
複雑に縺れている。