「じゃあ、お母さん呼んで来るんで、ちょっと待ってて下さい…」



そう言い残し、篠原は1人で家に入っていった。






「…こんばんは。あの…」



しばらく待つと、緊張した様子で誰かが出て来た。



この人か…
篠原によく似てる─



「××高校の杉田と申します。今日は、希さんの帰宅時間が遅くなってしまって…お母さんにはご心配をおかけしました。」



我ながら、丁寧な言葉使いは似合わないと思う…



「いえ…そんなお気になさらないで下さい。こちらこそ申し訳ないです…わざわざ送っていただいて。希〜、ちょっと来なさい!!」



篠原のお母さんは笑顔でお礼を言うと、家の中に向かって大きな声で篠原を呼んだ。



「ごめんなさい…うちの子、扱いにくいですよね?」



「いえ…勉強も部活も頑張ってますし、僕としてはいい生徒だと思いますよ。」



そんな感じで話していると、篠原が下を向きながらこっちに歩いて来た。