恋、涙 …




差し出された右手。



「……?」



「早く帰らないと…親御さんも心配するだろ?」



私は、訳がわからないままその手を見つめてたけど…



これって…
手を繋げ、ってこと?



暗闇に目が慣れて、先生の姿ははっきり見える。



少し先生の頬が赤くなってるように見えるのは、私の気のせい?



「先生…あのっ、」



「深い意味はないから…」



だよね…
まぁ、当然そうだよ。



先生は怖がる生徒の為に、少しでも恐怖を和らげようとしてくれてるだけ。



それでも…
私は嬉しかった。



黙って先生の手を取り、私はその場から立ち上がった。



「ごめんなさい…」



「うるさい。お前、さっきから謝り過ぎだ…」



怒られた…



けど、いつもと違う先生は、ある意味貴重だよね。



それに、先生と手を繋ぐってことも滅多にないことだろうし…



なんか…
私、今すごい体験してる─