突然謝った先生は、それまで私に向けていた視線を反らした。



「こんなの、全く関係ないよな…お前には。」



私は初めて見た。



震える拳を握り締め、涙を流す先生の姿─



私はそんな先生を見て、少し先生に歩み寄った。



何も出来ないけど…
私は手を伸ばし、先生の震える拳にそっと握った。



「篠原…?」



「泣かないで下さい…前に私が言ったの、覚えてますか?私…先生には笑ってて欲しいんです。」



悲しい顔は見たくない。



たとえ偽りの笑顔でも、泣いてるよりはマシだから…



「だから、1人で背負わないで下さい…私は何の力にもなれないかもしれない。けど、先生の側にいるくらいは出来るから─」



過去や後悔の気持ちに縛られて生きて行くなんて、そんなの全然楽しくない。



忘れるのに時間はかかるけど、向き合って努力すればきっと…



どんな辛い過去も、いつかは思い出に変わるはず…