それから、数日経ったある日

「今日は皆に紹介したい子がいる。空野くん入って」

夏休み明けとかならよく聞くけれど、10月も半ばのこの時期なんて珍しいな。

山吹先生に言われ、ムッツリした一人の転校生がやってきた。

その人は茶髪というより若干黄色がかった髪を立たせ、耳にピアスをいくつもつけていて眼つきも怖い。

何も問題が起こらないといいな

「空野 輝(ソラノ ヒカル)くんだ仲良くするように。席は……栗本の隣空いているな」

私は、首を横にブンブン振る。

だめ、此処には来させないで!!

心の想いは届かず、茶髪男はズンズンやってきて、空いている隣の席にドカッと座った。

怖さのあまり、顔を下に向けギュッと瞳を瞑る。

「カンナちゃん?」

何かを懐かしむように声が隣から降ってきた。

えっ!? 私をそんな風に呼ぶのって――

おそるおそる顔を上げるとさっきとはうって変わって、陽だまりのような笑顔

「ヒカルくん?」

「おう。よく覚えていたな」

「うん。ってか、どうして私の事わかったの?」

「そのリボン」

あっ、やっぱりお守りだったんだね?

ヒカルくんが私を覚えていてくれた嬉しさと、あまりに変わり果てた姿のギャップに頭の中が付いていけない。

それについては触れてはいけないような気がするから言わないでおこう。

そういえば、彼の父は転勤族。去る時が突然なら、来る時も突然。

また、直ぐに行っちゃうのかな? 折角10年ぶりに再会出来たのに……

「栗本、さっきから青くなったり赤くなったり灰色になったりと忙しそうだが、授業初めていいか?」

「え、あ、はい、どうぞ」

クラス中がドッと笑いの渦につつまれていた。

「よろしくな。」

「うん」

どうリアクションとっていいか分からないよ。ずっと会いたかったのに、こんなにも変わり果てた姿に再会だなんて。

私の知っているヒカルくんは純真で清らかな心を持っていて、それでいて、いざって時に助けてくれるヒーローなんだよ?

授業に集中できないよ。