年末、1日前の夜 東京に珍しく雪が降った。

点滅を始める歩行者信号
ハラハラと舞い落ちる粉雪に歩行者達が珍しそうに空を見上げている。

『東京に雪が降るなんて、珍しいね…』

あたしは、助手席で幸也に凭れかかりながら呟いた。
信号が青に変わる。
動き出す車

『こりゃあ、今頃 志賀高原も大雪だな』

ハンドルを左に回しながら幸也が言う。

今年も幸也と志賀で過ごせる。 甘くロマンチックな夜が2人を待っているのだ。彼の横顔をうっとりと眺めるあたし
心は幸せに満ちていた。
・・・が

『おとりこみ中、すいませんが・・』

割り込む雑音

振り向くと、加奈と哲太が笑っていた。

ふて腐れながら『何!?』と訊くと

『ボッキー食べる?』

と箱ごとポッキーが差し出された。

『有り難う』

受け取るあたし


2本取って、幸也の口に加えさせる。

あたしは、3本抜いて一気に食べた。

『ポッキーてさ、一本じゃあ物足りないよね?』

加奈が言う。

『そんな事、どうでもいいだろ』

哲太が笑いながら加奈の頭をコツンと叩いた。

何だかんだと言って仲の良い2人