お互いに、彼氏、彼女がいて、一年前、お互いにアバンチュールを楽しんだだけ…

何も責められる覚えはない。

あたしには、幸也がそう言っているように訊こえた。

その時


会場の扉が、大きな音をたてて開いた。
一斉に、雪崩のようにゲレンデに向かう人々

『花火だ!!』

子供達が、大声で叫びながら走って行く。

その人波から外れて、1人の女がキョロキョロと、周囲を見渡していた。
『あの人って、貴方の!?』
そう言いかけた時

『しっ、黙れ!!』

幸也が、柱の影にあたしを引きづり込み、片手で口を塞いだ。


『幸也!何処に行っちゃったの!?』

女の悲痛な叫び声が訊こえる。
あたしの口を塞いだまま、様子を伺う幸也

『めるちゃーーん!!』

続いて、男の情けない大声が、訊こえた。


『どうする?お前の事探してるぜ、あのインテリ野郎の所へ行くか?』

幸也が、あたしの顎を救い上げて訊く。

『・・・・・』

何も答えずに、あたしは幸也を見詰めた。

行く訳が無いよ…。

だって、今こんなにも間近で、幸也の顔を見詰めていられるのに。。。。