みんなも同じらしく、様子を見に行ったりしていた。

黒板には簡単に書かれた五線譜に音符が乗っかている。
その横で茜がズラッと並んだ後輩たちに順番にテストをしていた。

「ああ、おしいもうちょい。」

「オッケー合格!」
「やった!ありがとうございました。」

「おねがいします。」

順調に合格していく子もいれば、要領がつかめず手こずってる子もいる。そういう子は合格した子から教えてもらったり、友達同士で考えたりしている。
一方合格すると次の課題が出され、それを解くのにまた一生懸命になる。

はたから見ていると、ゲームしているみたいで楽しそうだ。

 私の時はこういうの無かったから曲吹いてるうちに自然と身に付いたんだろうな。

物思いにふけっていると、茜が私に気がついた。

「楓、どうしたの?」

「ちょっと見学~。」

「さっき恵達も来てた。」

「知ってる。だから来た。なんか楽しそう。」

「うん、ちょっと先生気分?でも自分でもリズムが分からなくなったりするとパニクるよ。」

ちょうど今さっきのことだ。

「けっこう並んでるけど、いつまでするの?」

「今日は10問ぐらいで、時間押したら明日にまわすよ。」


「茜せんぱーい。」
「あーはいはい。」

順番待ちしていた後輩に呼ばれた茜はまた指導にまわった。その様子を少し見てたら、私も一緒に手を叩きたくなりそうだったので練習場所に戻った。