夏だ。受験の夏だ。
 最後の大会の余韻もどこへやら、私たちは急いで受験モードに切り替えなければならなかった。

いや、人によっては遅いぐらいだ。
 いくらなんでものんきすぎるよね。
私は何人かの友達にいい塾は無いかと尋ねた。
何日か迷って、その中の一つに行く事に決めたのは夏休み前である。

結果。
「うそ、すごい!」
席次が50番ぐらい上がった。
「私ってやればできる子だったのね。」

今までいかに怠けていたのか…いや!それだけではない。
私は私なりにがんばっていたし、授業も真面目に受けていた。

「勉強のやり方とか、全然わかっていなかったのかも。要領も良いとは言えないし…茜たちは一年からこれをやっていたんだな。」

紹介された塾の中には茜が通っていた塾もある。
正直着いていけなかった。

 そりゃ、皆さん頭も良いはずですよ。
 ふっと自嘲気味にため息を吐く。
 でも席次上がってよかったー。

親に受験だから塾に通わせてほしいと言った手前、成績上がらなかったらどうしようかと内心少し心配していたのだ。

これで部活も続けられる。

塾も面白いし。

私が決めた塾は先生が優しく、個性的で授業も楽しくよく笑っていた。
だから部活後も続けられたし、実際生徒も多く人気があった。

「昨日塾どうだった?」
「面白かったよ、あのね…」

など塾を休んでしまった次の日は授業内容に加え、先生たちの笑える話を教えてもらったりする。