そんな雰囲気を察してるのは私だけではなかった。


「なんか急に1、2年がそわそわしてない?」

「わかるわかる!」

3年だけが集まると誰からともなくその話になった。

それだけ顕著に出てたんだ。


「クラリネットもうるさくてさー。」

「へ~。みんな緊張してるのかな?」

「なんかそれ、人事みたいな言い方。」

みんなが笑い出す。

「だって、今までぼや~ってしてたじゃん?
それがいきなりさ~。」

「うん、だよね~。大会って知ってる?って聞きたくなるような…」

笑いながら、みな同意する。

「それって、私達(3年)が緊張感なかったからじゃないの?」

何気に核心をつく意見が出た。

「…そうかも。」

「…それは否定できない。」

みな妙に納得。

「私は真剣にやってたよー。」

「え~?」

「なに?」

「まぁ練習はみんな真剣だよね。」

「緊張感の問題?」

「気持ちの問題?」


結局、良くも悪くも呑気な私達は3年になっても変わらず、緊張感さえ後輩から作ってもらったってことか?


 でも、うちらは何回も舞台は経験していて、後輩達は二度目。大会は初だもんな~。

そこらへんの差はあると思う。


 ただうちら「死んでも金賞取りたい!」ぐらいの情熱に欠けてる気はする。


それも、あきらめてた大会に大人数で出られるなら、願ったり叶ったりだし。


「さすがに銅賞は取りたくないけど。」


できれば金賞の方がいいという気持ちが少しも無いわけではない。