「昨日はお疲れさん。で、早速なんだが…」

月曜日の放課後。
部活は1日だけお休みで、今音楽室にいるのは3年生だけだ。

「コンクールの曲を決めたいと思う。

で、今回は、九州大会にかけての県予選の方に参加する。
つまり、いつもやってる自由曲に加えて、課題曲も練習するんだ。」

「え!?」

「県予選!?」

「なんでですか?!てゆうか出れるもんなの?」

「ああ、出れるから言っている。
まぁ、レベルは高くなるし、課題曲合わせて2曲だから、厳しくなるが。」

「…」

予想外の事にみんなしばらく沈黙する。

「2曲か…」

「課題曲…」

「って!どんな曲なんですか!?」

「難しい?」

「あー、CDあるから聴いてみるか。」


~♪

「どうだ?」
先生がCDを繰り返し流しながら聞く。

「アップルマーチ…」

「なんかおいしそうだね。」

「なぜアップル?」

「う~ん、なんかかわいいけど。ちょっと難しくない?」

「最初からスケールだらけ…」

「テンポ速…」

「そーか?マーチってこんなもんだろ。」

 マーチだから速いんだよ。

「これが一番いいと思うぞ。うん、課題曲はやっぱりこれだな。」

もう決まったらしい。
 え?一番てことは他にもあるの?

「課題曲って他にもあるんですか?」

「あるけど…聴きたいか?」

「もちろん!!」


~♪

「行進曲「ラメセスⅡ世」…誰?ラメセス」

「スプリングマーチ…」

「第1行進曲「ジャンダルム」…」

 さすが吹奏楽コンクール。みんなマーチか行進曲なんだ。

「な?アップルマーチがいいだろ?」

 う~ん。

正直どれも難しそう。聴いただけじゃわからないけど。

「この曲が一番レベル的に合うと思うし、課題曲は重要だからな。」

そうまで言われたら、反対する理由はまず浮かばない。