「そういえば、茜のいとこは?」

「うん、多分入ると思うけど…。テニス部からも勧誘されて、迷ってる。」

「うわ~、テニス…。強敵。」

「てか、はやっ!もう勧誘されてんの?」

「先輩とか回りに多いから。」

「莉奈とかは?入学してくる子いたんじゃない?」

「え~。ムリムリ。…たぶん興味ないはず…」

「一応、言うだけ言ってみなよ。」

「う~ん。」

結構みんな真剣。
ひょっとしたら去年より。

なんだかワクワクしてきた。



「お、新入部員の話か?」

顧問がピアノ付近で話している私達の横に出てきた。

「今年は、たくさん入れるぞ。何名かは目星ついてるし。」

「そうなの!?何名ぐらい?」

「ま~入ってからのお楽しみ。
今年は何名入ると思う?」

「え~?6名?」

「少なすぎだろ!」

「よくても10名かな~?」

「10名…って結構多いよね?そんなに入るかな~?」

「まだまだだな。」

先生から意外な返答が返る。

「え?15名とか?」

「いや、もっとだ。最終的には…」

そこで先生が言い淀む。

「何人なんですか!?」

「気になる!教えて!」

「う~ん、どうしようかな~?ま、いいんじゃない?」

ポリポリと頭をかき、準備室へ行こうとするのを追いかける。

「ここまで引っ張って~」

みんなが不満を言うと。

「50だ。」

「へ?」

「今の15人を合わせて、50人目指す。」

一瞬の沈黙の後。

「絶対ムリ!!」

みんなで否定する。

 びっくりした~。50人??

「ま~目標だ目標。」

「なんか当てがあるんですか?」

「流石にそんなにはないけど、絶対ムリとも言えないと思うぞ。」

「50人て言ったら、あと45人?」

「まあ、30は欲しいな。みんなも知り合いに呼びかけてくれよ。」

 夢を見てるのだろうか?この人は。

とにかく、50は無いな。と、みんなが思っていた。