「10、20…100…
おー、100枚越したよ!」


友子先輩がカードを数え終わると、歓声と拍手が鳴る。


「すごいね。けっこう早くできたんじゃない?」

用事で後からかけつけた清花先輩。


「じゃあ、これをみんなで分けよう。」


達成感で笑顔だった1年の顔が、香奈恵先輩の一言で固まる。


 分ける。ということは…


「はい、楓ちゃん。」

10枚ぐらいのカードが渡された。


「配るのはいつでもいいけど、早いに越したことはないから、入学式には全部配ろう。」


「入りそうな子とか狙ってね。」


「じゃあ、私たちはポスターを貼る所を決めてこようか。」


「ポスターも早く場所取りしないとね。」


「うん。
じゃあ、今日はこれで解散ということで。」


はーい。お疲れ様でしたー。




「渡すの恥ずかしいよ~。」

先輩がいなくなると、本音が出る。

「校門とかで、『吹奏楽部に入ってね~(はぁと)』とか言いながら配るの?」


「うわっ、きもっ!」


「そう?結構楽しそうじゃない?」


「そうかな~?」

「楽しくない!」


「じゃあさ、みんなでやろうよ。」


「うん!そうしよう!一人でとか絶対耐えられない!」


ということで、入学式まで待つことになった。


私はどちらかといえば恥ずかしいが、みんなでやるなら面白 そうだ。