公園に到着すると。

ブランコに座っていたナナが、ユリと僕を見つけて、小走りで近づいて来た。

「久しぶり。」

僕が微笑みながらそう言うと。

ナナは突然、僕に向かって深々と頭を下げた。


「えっ?なに?どうしたの?」

戸惑って、僕がうろたえると。

「本当はね、誰にも言わずに、転校しちゃうつもりだったんだけど。ナナがどうしてもシュンくんだけには、お礼が言いたいって。」

ユリが横から言う。

「そっか、なんだかごめんね。逆に気を遣わせちゃって。でも二人に会えて、僕は嬉しいよ。」

本音だった。


ナナは頭をゆっくりと上げると。

「シュンくん、本当に色々とありがとう。私、ユリが側にいてくれて。シュンくんの、なんて言うかその、とても変な感じなんだけど、同意書の文字から勇気をもらって。なんとか乗り越えることが出来たような気がする。そのこと自体は、許されることじゃないのかもしれないけど。でも、私・・・。」

「大丈夫だよ。」

僕はそんな言葉を思わず口にしていた。


ナナは僕の顔をマジマジと見つめた後。

「うん!」

笑顔で大きくうなずいた。