「でも赤点は無くて良かったじゃん。」 「…もしあったら困るよぉ…!」 私は、やっと返してもらった答案用紙をギュッと胸の中で丸め込む。 これも匠先輩が勉強しようとする私の邪魔をしたりするから……。 …な〜んて、先輩のせいにするのは、ちょっと違うか…。 「まあまあ、そんなに落ち込むなよ。なんなら今日、俺ん家寄ってく?」 「えっ……でも迷惑でしょ?」 「迷惑なわけないじゃん。母さんの作ったマドレーヌ、翠央…好きだろ?」 マドレーヌかぁ…。