「何だ、恋人ごっこか?」 「…ええ。許婚の彼女が見ているかもしれないでしょ…」 そう…これは偽恋人の延長なんだわ。私はただ…偽恋人を演じているだけ……。 「…よしっ。もういいかしら」 私は慎矢さんの胸から身体を離した。 「今日は本当にありがとう。帰りは気をつけてね」 「ああ。おやすみ」 「おやすみなさい」 私は慎矢さんに背を向けてマンションへ入りエレベーターに乗って部屋へ上がった。