俺が彼女を好きな理由 ~嘘つきな俺~【短】



何度も何度も鳴る携帯をポケットにつっこんだまま、私は公園にいた。


いつも、何かあるとここに来て泣いてたっけ。


私の逃げ場所だったね。


「…なんで携帯出ねーの?」


上から翔ちゃんの声が聞こえた。


私は片隅の小さなトンネルの中にうずくまっていた。


「…なんで翔ちゃんがいるの…?」


「加奈は小さい頃から行動が分かりやすいんだって。絶対ここだと思ったし」


そう言って、隣に腰を降ろした。


私は顔を見られるのが嫌で、見えないように伏せた。


「…何で来なかった?」


翔ちゃんは穏やかな口調で問い掛けた。