加奈はそこまで黙って聞いていたが、急に口を開いた。 「…待ってよ。 そんなのまだ小さい頃の話じゃない…! 私、ちっちゃい頃はよくわかんなくて…泣いてばっかりだったけど…少し大きくなったら、 ちゃんと処置したら大丈夫だってわかったし…泣かなくなったよ? 今は、翔ちゃんだってすっかり喘息、良くなったし!」 加奈の必死に訴える声が、俺のすぐ耳元で聞こえる。 加奈の事を抱きしめるなんて初めてで… もうこんなことしたら、幼なじみになんて戻れないな… なんて冷静に感じてる自分がいた。