「これ、あげます」 春に咲いた桜の代わりに秋に散った葉をあげる。 今の俺にはぴったりのプレゼント。 「桜のお返しです」 自分と同じ名前の葉を、ゆっくり手に取る。 その葉をまじまじと見て「聡平くんの方が詩人だね」って嬉しそうに笑った。 また、頭を撫でそうになり、手を引っ込める。 その手を自分のポケットに突っ込み、また桜を見上げた。 別れ際に言葉をかけたら「ばれてたか」って、恥ずかしそうに言ったけどもう寂しそうではなかった。