でも、どうしようかな。



忍も寝てるし、おばさんにりんご渡して帰ろうかな。



「……紗苗」



背後から声が聞こえて振り返る。



「何しに来てんだよ」



忍がベッドの中から半開きの目を私に向けている。



「お見舞いだよ」



「アホかうつんだろ」



忍の声がいつになく弱々しくてびっくりした。



熱は下がってもまだだるいのかな。



さすがインフルエンザ。甘く見てた。



「つらい?おばさんにりんご向いてもらう?」



「いいから、早く帰れよ」



どことなく冷たい?



それとも機嫌悪い?



まあ病気だから仕方ないか。



私はベッドに寄りかかるように座った。