「すげー」



久々のデートの帰り道。



通りがかった公園で、風船ショーが行われていた。



「なあ紗苗、あれすげーな」



キラキラした目で出来上がっていく風船の動物達を眺めている。



そんな忍とは正反対に呆れた顔で私は風船を見ていた。



……忘れてるよね。



私が今日誕生日なの。





『部活のシューズ買い行くから一緒に行こうぜ』



忍からかかってきた電話。



誕生日、覚えててくれたんだ。



嬉しくて、
私は急いで支度をし、家を飛び出した。



照れ屋な忍のことだから恥ずかしくてストレートには誘えないから、
適当な口実を作って祝ってくれるんだって思ってた。



けど、本当に靴屋で靴を買うだけでそのまま家路をたどり始めたのだった。



そして、挙げ句の果てに彼女ほったらかしで風船に見入っている。