(かわいいなぁ。
このマフラー)



学校の帰り道。



ガラス張りの店内に飾られたピンクのマフラーを外から見ながら思う。



この前まで使っていたマフラーは、
水たまりに落としてしまったので洗濯して干していたら家の犬に噛まれてズタズタになってしまった。



そのため、
12月だと言うのにマフラー無しで登下校している。



寒くてたまらない。



私は財布を取り出し中身と値段を確認した。



……ギリギリ買えそうな値段。



よしっ、買おう。



後ろを振り返り、一緒に下校していた少年に声をかけた。



「忍っ、ちょっとマフラー買ってくるから待ってて」



その言葉に少年の顔が歪んだ。



「は?紗苗そのマフラー買うの?」



私が先ほどまで見ていたマフラーを指差しながら言う。