「裕城ってモテたいから学校で王子様してるの?」 「モテたいなんて思ったことないよ」 「じゃあ王子キャラやめなよ。モテる以外のメリットないじゃん」 昔は、裕城がモテるのが嬉しかった。 聡平と違って裕城は小さいころからバレンタインには紙袋一杯にチョコを持ってきてた。 そんな裕城と特別仲のいい私まで鼻高々だった。 だけど、 高校に上がって『王子』と呼ばれるようになってからは、みんなが偽物の裕城を好きみたいでずっと嫌な気持ちしかない。 「裕城は、今のままでも充分モテると思うよ」