家にいると1人の
男のが入ってきた。

「香織?」

「何ですか?」

「俺は龍太郎で君の
彼氏だよ。」

その人は私を抱きしめて
くれたが、
あの時の人の温もりと
全く違った。

「この指輪知っている?」

「ああ。俺が上げたよ。」

彼は笑顔で答えたが、
私の心は晴れなかった。

彼は毎日私の家に来たけど、
何だか違う気がした。

お兄ちゃんもパパもママも、
不思議そうな顔をしていた。

けど家族の事もはっきりと
記憶が戻らない。

たぶん私の家族・・・。

「香織?私覚えている?
えみりだよ。
私達のお母さんが親友で、
仲が良いんだよ。」

「ふ~ん。」

えみりも変な顔をして
私を見つめてきた。