「待ってサラちゃん。送って行くから。」
「嘘つきガッパに送ってもらう位なら、ひとりで帰る。」
心のモヤモヤの理由が、自分の気持ちが分からなくて、清四郎に苛立ちをぶつけてしまう。
いたたまれなくなって、エレベーターへと足を速めた。
不意に腕を掴まれて振り返ると、いつになく真剣な顔の清四郎が私を見ている。
「イライラの原因は何?」
「痛い、放してよ!」
掴まれた腕の力と、いつもと違う態度に戸惑いながら、
それでも強気に腕を振り払った。
びっくりした・・・。
驚きを隠せないまま、掴まれていた部分に触れる。
じんじんと脈を打つ腕に、どうしたらいいのか分からなかった。
「驚いた?そうゆう顔もいいね、そそられる♪」
急に表情を変え、いつもの、清四郎おちゃらけバージョンに戻って、にっこり微笑んでいる。
私が呆気にとられていると、タイミングよくエレベーターが止まった。
一部始終見ていたのに、表情一つ変えない執事さんに見送られ清四郎と乗り込み、
流されるまま結局、家まで送ってもらった。
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