「はい、とーちゃーく!」
どうするのがベストか考えようとしたとき、不意に彼の足が止まった。
いきなりだったのでその身体にぶつかりそうになる。
辿り着いた店は至って普通のラーメン屋、いや少しボロめの。
特に混雑してるわけでもなく、押見はまるで馴染みのように店へと入っていった。
店内には店主と思われる男性以外誰もいなかった。
昼食時間からは外れているとはいえ、日曜に閑古鳥が鳴いていて商売になるのか。
「たいしょー、ネギチャーシュー麺ふたつねー」
さっさとカウンターに座って勝手にふたつ注文をしている。
この場から逃げることは出来たけど、生憎あの道をひとりで帰る勇気がない。
仕方なしに押見のひとつ隣に腰を下ろしたら「えー」という声と共に奴は移動してきた。
そんな押見は無視で、湯気に包まれた店主の背中を見ながら懐かしい匂いに思わず食欲がわく。
お昼を食べていなかったから、ちょうどいいと言えばそうなのだけれど。
ラーメンが出てくるまでの間、押見は無言だった。
それでもカウンターに肘をついて何故か私をにこにこと見つめてくる、気持ち悪い。



