押見は制服もきちんと着ていたし、いや相変わらず着崩してシャツじゃなくてTシャツを着てるけど。


髪も、丁寧にワックスで整えられていた。



対して私はほぼ風呂上がりのまま。


セーラー服のリボンですら、適当に結んだだけ。



「ね、約束」



ただこのまま立ち止まっていたら間に合わないかもしれない。


そう思って歩き出すと、手こそ触ってこないものの押見は私の右横にぴたりとついてきた。



「遅刻しなかったらって言ったでしょ」

「だいじょーぶだよ、ちゃんと間に合うってー」



ひょうひょうと、焦るような気配はなく。



昨日と何も変わらない、男。



「何があるかわからないでしょ、学校についてからの話」

「んー、まー確かに何があるかわからないよねー。もしかしたらかいちょーは既に俺に惚れてるかもしんないしー」



また発せられる適当な言葉に呆れて天を仰いだ。



目に入るのは真っ白な雲がぽつりと浮かんだ青い空。