「気付いたら君を探していた。そしたら君が此処にいた。それだけだよ」


そう淡々と話すハルトをキルシュは思わず力強く抱きしめていました。

嬉しくて抱きしめたのかは分かりません。ただ無意識の行動でした。


「今日……」
「?」
「これで永遠の別れなんて、やっぱり嫌っ!」


涙はもう出ませんでした。代わりにキルシュの叫ぶような声が響き渡りました。

ハルトはただ何も言わず、ただキルシュに抱きしめられるだけでした。

数分後にキルシュが落ち着きを取り戻し、ハルトを解放までの間まで沈黙は続きました。

キルシュから解放されたハルトは両手の包帯を解きました。

そこには間もなく満開に開くであろう花の蕾の文様がありました。