「明日……ね。分かった! 明日の朝ね!」


何故か朝だと決めつけたキルシュは、ハルトを置いてそのままその場を後にしました。

ハルトが後ろからついて来ていない事を確認すると、

近くにあった空き小屋の壁に凭れかかり、そのままズルズルとしゃがみました。


「もっと知りたいと思ったのは確かなのに、新たに知った事がこれって……」


知って良かったようで知りたくもなかった複雑な事実。

キルシュはそのまま陽が完全に落ちるまでその場にいました。

きっと呪いの事は里の人間の半数近くが知っていた事でしょう。

そうでなければハルトが自分の事を知らなくて驚いたのも、

待合室で言われた中年男性の言葉にも納得は出来ません。

キルシュはそんな事を考えていました。

ただ何故周りの人間が知っていたのかまでは分かりませんでした。


「何かあたしがバカみたいだ……」